〇オペアンプを使ってみる
オペアンプとは、二つの入力端子の電圧差を増幅するモジュールです。
記号で表すとこのような感じです。
入力側の+と−はプラス側とマイナス側であり、その極性で端子間にかかった電圧差を増幅します。
+側に入力信号をつなげ−側に基準電圧をつなげると非反転増幅(入力と出力が同相)、
−側に入力信号をつなげ+側に基準電圧をつなげると反転増幅(入力と出力が逆相)になります。
増幅率は理想的には無限大で、電圧入力により動作します。
増幅モジュールですがアナログ信号の増幅とかはあまり興味がないので、二つの入力端子の電圧に差が生じると、出力がON/OFFするマイコンのセンサー入力に使えそうなコンパレータ(比較器)を作成してみます。
プラスの電源のみで動作して、ONの時にはプラス側のみの出力をする単電源オペアンプとして低価格で入手しやすいLM358を使用しました。
OFFの時はGND寄りの出力をします(GNDにはならないです)
LM358の内部はこのようになっています。
+と―の電源を接続する事により、内部の二つのオペアンプが動作します。
LM358を使いコンパレータを作成します。
二つの入力端子の電圧を可変抵抗で変化させることにより、出力に取り付けられたLEDが点灯したり消灯したりします。
増幅率がむっちゃ高いので(抑えない限り)いきなりONになったり、いきなりOFFになります。(まあ、ほんと微妙に調整すると薄暗くなったりするのだが)
回路図には載っていませんが、LM358に電源を接続しないと動作しません。
実際に作成しました。
可変抵抗を回す事により、ある所を境にLEDがON/OFFします。
ちなみに電源は5Vを使用しています。
▼光センサを取り付ける
光センサを使い、明るさによってON/OFFするように改造します。
回路図をこのように変更しました。
光センサとして使っているフォトレジスタ(CDSセル)に光が当たると、LEDが点灯します。
感度は可変抵抗を回すことにより調整出来ます。
また、CDSセルの位置を反対側にすると、暗くなると点灯し、明るくなると消灯します。
フォトレジスタに手をかざしてLEDを点けたり消したりしてみると、微妙に薄暗い点灯をしたりして、
きっちりバシッとON/OFFするわけではないです。
▼バシッとON/OFFするようにする
ON/OFFする時の上がりと下がりの電圧が異なれば、バシッと決まるはずです。
デジタル回路ではシュミットトリガというものでしょうか。
オペアンプの出力をプラス側の入力にフィードバックする事により実現できます。
出力が入力に戻るため、出力があるといきなりONになります、OFFにするには入力側がよほど弱くならないとOFFになりません。
その特性を利用してヒステリシスを作ります。
フォトレジスタに手をかざしてLEDを点けたり消したりするとバシッとON/OFFします。
中途半端な薄暗い事はありません。
■増幅率を低下させる
オペアンプの増幅率はそのままではめちゃめちゃ高くて、ちょっとの入力で出力が最大になりアナログ信号の増幅には使えません。
そこで、出力を入力側の極性の反対側に戻す事により入力が妨げられて増幅率を下げる事が出来ます。
このように改造する事により、アナログ信号を増幅する事が出来るはずです。
セラミックコンデンサは0.1μFの物を使いました。
そのそもマイク自体持っていなくて両方ともスピーカーを取り付けましたので、
本物のマイク(コンデンサマイク)だと動くかどうかわかりません。
この手持ちの部品で適当に作った回路では音は割れてひずみまくりで実用性はありません。
ただ、増幅しているのは確認できました。
■増幅率を計算する
▼(非反転増幅) 増幅率無限大
まずは、最大増幅率の増幅率無限大の回路を準備します。
この回路では、基準電圧と比べて差があると、増幅率最大で出力されます。
▼(非反転増幅) 増幅率最小
最低増幅率の増幅率1倍の回路を準備します。
この回路では、+−の端子の電圧に差があると、+の電圧が出力されて−の入力端子に戻り、+−の電圧差を無くす働きが生まれる。
それにより、入力側の端子間の電圧は同じになり、ほぼショートしていると同じになる。
そのため、増幅率1倍になります。
▼(非反転増幅) 増幅率を無限大と最小の間を取れるようにする
入力側の−端子に戻る電圧に細工を施し(電圧を変化させて)増幅率を変えます。
RfとRsの抵抗分圧により、A地点の電圧を低下させる事により増幅率を ∞ 〜 1倍 の間に調整する事が出来ます。
A地点にかかる電圧を抵抗分圧で計算すると、
1KΩ / 2KΩ + 1KΩ = 1/3 となり、電圧が1/3となります。
つまり3倍の電圧が出力から出てこないと入力端子間の電圧は同じにならない為、3倍の増幅率を意味しています。
増幅率として計算すると、
( Rf + Rs ) / Rs = 1 + Rf / Rs
となり、1 + Rf / Rs の式に割り当てる事により増幅率を計算できます。
1 + 2KΩ / 1KΩ = 3 であり、3倍の増幅が行われる事が計算により求められます。
▼反転増幅の増幅率
信号の入力に対してRfとRsの値が同じ場合には、A地点は差分0になります。
つまり、抵抗の比率だけで増幅率が計算できます。
Rf / Rs の式に当てはめると計算でき、2KΩ / 1KΩ = 2 となり、2倍の増幅であると計算できます。
■バッファ
増幅率1倍の非反転増幅回路がありますが、これはバッファとして使用します。
センサーなどの弱い電流の信号を、電圧はそのままで電流を上げて扱いやすくします。
■ LM358で増幅回路を作る
ラジオなどの音声を増幅する回路を作成したいと思います。
電源が電池2本では動作しなかったため、3本は必要みたいです。
LM358はアマゾンで購入しました、時間があるのならば(1ヶ月以上待てるのなら)価格の安い順で並び替えて個人輸入で購入するとだいぶ安いです。
アマゾンで価格の安い順で並び替えたLM358のリンク
ただし、配送料を確認する必要があります。
まずは、オペアンプを使った増幅回路です、反転増幅の増幅率の計算方法にしたがって抵抗値を決めて10倍の増幅率にしました。
これを実際の基板に書き換えてみます。
LM358では、一つのICに2個のオペアンプが入っており、片側のオペアンプを使って配線するとこのようになります。
反対側のオペアンプを使った場合の配線がこのようになります。
片側の増幅回路をイヤホンが鳴らせる程度の出力のラジオに接続して試してみました
(ココで作成したラジオです)
音量が大きくなっているのが確認できました。
ただ、入力が大きすぎて音が割れてノイズが入ります。
▼オペアンプを2段接続する
100倍の増幅と100倍の増幅を接続すると増幅率は10000倍になります。
そこで、二つのオペアンプを2段に接続したのがこちらです。
しかし、この回路を実際に作成してみるとピーピーと音が鳴り発振してうまくいきません。
そこで、色々試行錯誤して各々のオペアンプの前に増幅率を調節するボリュームとセラミックコンデンサを追加しました。
セラミックコンデンサの容量が小さいと高音の発振がカットできるようで、容量を大きくするとラジオの音が低くなる気がします。
セラミックコンデンサは手元にたくさんあったものを使っただけですので正しいかどうかは不明です。
イヤホンが鳴らせる程度のラジオに接続してみると音が大きくなりスピーカーから大きな音が出ます。
100倍×100倍の2段だと音は大きくなりますが音が割れてラジオとしては難ありです。
10倍の増幅率を2段で接続したものの方が音の割れが少ない気がします。
ボリュームの調整位置によっては、回路が発振してしまいます。
■ 4回路入りのオペアンプ
4回路入りのLMC660を入手しました。
2回路入りのLMC662とLM358は同じピン配置の様です。
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