コイル切れの時計を直す
■コイル切れの時計を直す


今から10年ほど前に・・・・
腕時計の電池が購入後初めて切れたもんで、近くの量販店のカウンターにもっていって電池交換を頼んで待つこと半日。
店の人が、「お客さん、この時計壊れてますんで電池の交換しませんでした。」
と言われてそのまま帰ってきました。
その後、引き出しの肥やしに。

最近引き出しの片付けをしていたらふと出てきて、捨てるくらいならと裏蓋をあけて、
ためしに電池交換してみると、電池をはずすネジとピンの近くにコイルがあるではないか!
電池を交換してみてもやはり動きませんでしたが、 よくよく考えると店員が電池交換の時にドライバーで触れてコイルを切ったんじゃないかなと頭をよぎり、 故障の原因はコイルだろうと思えてきました。
思い切ってコイルを交換したら直すことができるんじゃないかと思い交換してみることにしました。


故障したフレデリック コンスタントのクオーツ時計
パスエイション ビジネスタイマーとかいうらしい。



裏蓋を開けて、ネジを2本はずすとプレートが外れます。
このプレートの電池押さえの金具はネジをゆるめても意外に弾力があって固いから、電池をはずす時にコイルをドライバーなどでつついたのじゃないかな?



さらにはずすとコイルと電子回路が外れます。



交換用のコイルなんて売ってないですから、コイルを取り外す安い腕時計



二つのコイルを並べてみました



元の壊れたコイルの電極部分をニッパーで切断して新しいコイルの頭も短く切断して二つを瞬間接着剤で付けました。
接着するときに、金属部分と金属部分を必ず密着させないと磁力が伝わらなくなりうまくいきません。
また、銅線の端はハンダ付けで電極部分に接合しました。



コイルの電極の反対側も、磁力が伝わるようにしっかりと本来取り付くはずの場所の金属に押し付けて接着しておく必要がありました。
多少のコイルの長短や金属の取り付く位置は大きく違わなければあまり関係ありませんでした。
ただ、わずかな隙間でも開いてると磁気の回路が成立せずに時計のモーターがうまく動きません。
うまく動かない時は、モーターを見てピクピクしてるようなら隙間を疑ってみたほうがいいかもしれません。

まったく動かないときは、デリケートなコイルを再び切断してしまったか、他の部分を疑ってみてください。
動くようになるまでに分解したり組み立てたりを20回以上繰り返し、部品を切断したりして試行錯誤しました。
電極の角度など、なかなか手強いので、時計を捨てる覚悟で挑戦したほうがいいです。


とりあえず直ったつもりでいて一日ぐらい動かしてみたところ、数分遅れが生じました、 音を聞いてると時々、ジジッと聞こえます。
たぶん素手でムーブメントを触りまくったため、ゴミが浸入してるんだろうと思い、輪列を分解。



分解後に部品をベンジンと筆を使って洗って組みなおします。
各種歯車を台座の穴に合わせてセットできたら上からカバーをかぶせて指で軽く押さえながら磁力で傾いてるステップモーターの磁石の軸を合わせます。
その後、そっとネジを軽く締めて、楊枝で歯車がまわるかどうか確認したらネジをちゃんと締めます。
あきらめずに気長に何度もやればそのうち組みなおせるんじゃないかと。
ほんとはもっとちゃんとしたやり方があるんでしょうけどね。

この状態でそっとカバーを乗せました。
ステップモーターの磁石だけは磁力で軸が合わないのでずれています。

分解掃除をしたらとりあえず問題なく動くようになりました。

時々、クオーツ時計も定期的に分解掃除したほうがいい!みたいな事をいう人もいますが、ほんとなのかな?と思えてきました。
小さな歯車をピンセットでつまむだけで傷つくリスクがあるし、ドライバーを滑らせるかもしれないし。
プロならそんな失敗しないんだろうな!!
と思ったのでした。


ちなみにコイルがはみ出てる分だけ、ムーブメントが分厚くなったため、ケースに収まらなくなり裏蓋を内側からセンターポンチで丸く打ち、丸く膨らませました。



表側はサンダーで目の細かいディスクを使いピカピカに削りました。

刻印やナンバーは消えてしまいましたが、これはこれでかっこいいですw




■列輪を交換する


その後、コイルを交換した状態でしばらくの間調子よく動いていて普段使いに使っていたところ、ガラス内部に曇りが出来てしまいました。
時計が遅れたり止まったりするなあと思って、分解してみたところ。



列輪の歯車の軸がさびてました。
むりやり歯車を抜くと秒針のパイプの中に軸だけ残って抜けたりと散々です。
もうムーブメント交換しかない!と思い、ムーブメントのプラスチック部分に小さく書いてあるナンバーを見て
同一型のムーブメントの RONDA 706B を探してネットで検索してみました。



4000円ぐらいかーと思い、日本で買えるサイトを探してみましたが見つかりませんでした。
どちらにしても業者じゃない我々だと1万円以上でしか買えないのでしょうがねw

なにか変わりになる部品が無いかとムーブメントのデータシートを見ていた所、



706BとH.RONDA Cal 515 (ネットで1000円ぐらいで買える) の部品が似ているのを発見!
まあ、同一メーカだから部品を共有してるんだろうけど。 パイプの長さや軸の長さなどが微妙に違って、歯車だけ交換すると軸が上下に踊ってうまく動かなかったです。
この5つの部品をまるっと交換すれば動きました。


さっそくバラバラにして。


左は515の新品で右が706Bの部品交換済み。
交換した部品のメッキの色が違って変な感じです。
あと、コイルもそのまま交換可能でしたので取り替えました

5石ムーブメントが1石ムーブメントになってしまいましたが、まあ、動くようになってよかったです。
機械式なら軸の穴の磨耗により精度が変化してしまうのも想像できますが、 磨耗しても精度に関係ないクオーツに石がいるのかが疑問です。
軸の穴が減るくらい動いたら、そもそも軸のほうが表面積が小さいからもっと減るんじゃないかな?
と思ったのでした。




■文字盤側を分解する

前回の分解から3年ほど経って電池が切れて電池交換をしました。
この時計は曜日を合わせるボタンや操作が無いため違っている日数分だけ何度も竜頭を回して調整する必要があります。
しばらく停止していて曜日が狂っていたため、ちょっと速めにグルグルと竜頭を回していたところ、不意に竜頭がガリっとする微妙な振動と共に、 空回りするようになってしまいました。
あー回すのが速すぎてギヤが欠けたと思い、泣く泣く分解する事にしました。


竜頭を抜いてムーブメントを取り出した所です。 竜頭の抜き方は竜頭を引いて、ムーブメント裏側から見た竜頭を支えている金具に何らかの印がありますのでソコを押しながら引っ張ると抜けるんじゃないかなと思います。
たぶんですよ、自己流ですので正しい方法なのか解りません。




次に毛抜きの先を曲げて針を抜いてみました。
結果から言うと最悪です、ちゃんとした道具を使うべきです。




あれ?穴の中の軸がないぞ?




針が抜けずに軸が折れてしまいました。
毛抜きの先端がきちっとあっていなかったため"ひねる力"が働いて折れてしまったのだと思います。




ムーブメントのココの軸が折れてしまいました。
こんな部品の代用品は持ってません、なんとか創意工夫で直すしかありません。




まずはガンガン分解していって、竜頭の回転を伝えるギヤまでたどりつきました。
矢印の先にある米粒より小さいギヤが金属の削りカスで真っ黒になっていました。




取り外したギヤです、竜頭の回転の力が加わる部分のギヤの縁が欠けています。
ちなみに線の幅は1ミリです。




こちらは裏面、裏返せば使えそうですが、裏返して回してみたところ接触する隣のギヤまで欠けてしまいました。
過去に部品取りに使った H.RONDA Cal 515 とそっくりな部品のため隣のギヤと共に交換することにしました。




次に、分解するときに折ってしまった軸を何とかできないかと色々考えて、 軸が折れた歯車の頭に半田付けで針金を付けました。
動かすのは針ですからこれで耐えてくれると思います。
瞬間接着剤と注射針みたいなパイプなど色々試してみましたが、組み立てて動かすと折れてしまってうまくいきませんでした。




ムーブメントに半田付けした歯車をセットします。
この歯車にテンションを掛ける小さな針金みたいなバネをはめるのに、何度も飛ばしてしまいなかなか手こずりました。




なんとか部品を置いた所です、絶対になにか間違ってます、とくに金色の輪っかとか、ばらした時の記憶にないです。
カレンダーの切り替わるタイミングの歯車の位置とか、動くかどうかわからないのにそんなの知るかーって感じです。




上にプレートを載せてねじ止めです、ねじも幾つか無くしてしまい、違うねじがチラホラ。
手でベタベタ触ったため指紋だらけですし。




半田付けで軸を付けた部分の拡大です。




次の層にも部品を配置して組み立てていきます。




ムーブメントの外側のプレートには軸が通る穴が開いていました。
半田付けした針金を通すために穴を大きくしようとしたらうまくいかなかったため、その部分を削り落としました。




ケースに組み込んだ姿です。
ちなみに曜日の針は他の時計の針を短く切断して、瞬間接着剤で付けました(笑




しかし、1週間ほどしばらく放置してみると、
小さなギヤに半田付けで付けた針金のセンターが出ていなくて、文字盤に干渉して曜日がうまく回転しませんでした。
そこで、針金ではなくてネジを裏返して半田付けしてみました。
まず、ネジの皿の部分に半田をのせて、ネジを穴を開けた割り箸の上に固定してその上にギヤを置き、半田ごてでギヤごと加熱して半田付けしました。
一度ではセンターや角度が合わず、ルーペで確認してずれていたら再び加熱。何度も繰り返すと偶然センター付近にくっついて無事に半田付けすることができました。
その後に組付けたのがこの画像です。



この時、曜日と日付を切り替える歯車の位置を「穴が中心に来るように」調整しましたが、この状態だとNGでした、午後11時に曜日が切り替わり午前10時に日付が切り替わる状態になりました。
これだと約12時間、曜日と日付の切り替わるタイミングがずれています。
左右のギヤの穴の位置を下なら下に両方とも合わせて組み立てると曜日と日付が同時に動作すると思われます。

後日、左右のギヤの位置をこのように合わせてみましたらビンゴでした。



日付と曜日が切り替わるのを確認するために、日付が切り替わったタイミングで針を取り付けた所、3時間ぐらい後に曜日が切り替わりました。




■折れた針の修理

分解したり、組み立てたり、また分解したり針の高さを触ってみたりをしていたところ、針が折れてしまいました。



針の断面を見てみると真鍮製、超薄いですので自作するのは不可能そうです。
特に穴の部分、削り出すのは無理です。
ただ、針の部分はタダの棒ですから、作れない事もなさそう。



半田付けしようかとか色々考えた挙句、針と穴の部分を裏側から重ねて接着剤で接合するのが一番簡単で確実という結論に至りました。

針に黒い色のペイントを施して組みなおしました。
接合されている針の違和感は感じません。


ちなみに曜日の部分は、軸となるネジが文字盤から飛び出るように穴を大きくし、針は元の針の厚みを潰して薄くして瞬間接着剤で接合しています。




素人が創意工夫で時計を修理してます。
運がよくないと壊しますので絶対に真似しないでください。
書いてあることが正しいとは限りません。
ちなみに、当方は一切修理は請け負っておりません。


20141021更新
20180104更新


▲トップページ > その他