■クオーツ時計のステップモーターの回転する仕組み


普通、モーターといえば2個以上のコイルが付いて回るのに対して、
クオーツ時計の中のモータは(単相ステップモータと言うらしいのだが)コイル一つで回転します。
いろいろ回転する仕組みを調べても、”磁気構造の工夫によって”などとしか書かれてないためわかりませんでした。
どうしても気になって眠れなかったため、 クオーツ時計を分解して調べてみることにします。

まずは、クオーツ時計を分解してモーター部分を取り出して観察しました。




▼モーターの構造はこのような形をしています。
コイルの銅線を左右入れ替えても磁石は同一方向しか回転せず、逆転はしません。
コイルには一秒おきに電子回路から極性が入れ替わって電気が流れることによって磁石が回転します。



▼回転する部分を拡大するとこのようになります

もちろん磁石の部分が回転します。
よくよく虫眼鏡で拡大して見てみると鉄の出っ張り部分が左右で微妙に長さが違ってました。
それに気が付くのにすごく時間がかかりました。
そこがミソだったんですね。


■以下、順を追って回転を見ていきます。

step 1 回路に電気が流れていない状態

上下の鉄の出っ張りが左右で微妙に長さが違い、片方(赤いところ)がより磁石に近づいています。
そのため、磁石の各極が出っ張りに引かれています。
step 2 コイルに電気が流れ始めた状態

上下の鉄に磁界が発生して、磁石が回転し始めます。
step 3 コイルに電気が流れている状態

鉄の出っ張りではなくてコイルの磁界の真ん中に磁石が吸い寄せられています。
step 4 コイルの電気が切断された瞬間

磁石が鉄の出っ張りに吸い寄せられ回転しはじめます。
step 5 コイルに電気が流れていない状態

磁石が鉄の出っ張りに吸い寄せられています。
step 6 コイルに流れる電気の極性が入れ替わって流れ始めた状態

再び磁石が回転をはじめます。
step 7 コイルに電気が流れている状態

鉄の出っ張りではなくてコイルの磁界の真ん中に磁石が吸い寄せられています。
step 8 コイルの電気が切断された瞬間

磁石が鉄の出っ張りに吸い寄せられ回転しはじめます。
最初の状態 step 1 に戻ります。



単相で回転させるために鉄が磁石に吸い寄せられる力をうまく使っていたのですね。
コイル一つで回転できる仕組みが理解できました。

ちなみに、腕時計のステップモーターも同じ原理で動作します
下に今回のステップモーターと腕時計などで使われているステッピングモーターの絵を置いときます。
よくよく見て見ると同じだと思えてきませんか?

スイープ秒針のクオーツ時計を分解してみた所、まったく同じ仕組みのステップモーターでした、
では、なぜ滑らかに秒針が動くのか?
その理由は一秒間に何回転(4回ぐらい?)もステップモーターが回ってるからでした。
たしかに、秒針をよく見ると小刻みにピクピク動いてる気がします。


2014年11月11日 作成
2015年 6月10日 更新


▲トップページ > その他